合同誌主催を振り返って 〜花札合同運営の裏方〜
記事のモチベーション
おそらくこのタイトルでこのブログに到達する人ははじめましてだと思います。
合同誌を主催したり、競技プログラミングの問題を解いているkurenaif(f.くれなゐ)と申します。 この記事では二度合同誌を主催し、この機会を通じて様々な反省があったので自身の今後の様々な活動や、また他の合同誌主催をしたいと思っている方の参考に少しでもなればと思い、筆を取りました。
普段はこんなブログを書いています。もし興味があれば覗いてみてください。 かなり難しい問題を解説していると思います。
自己紹介・主催した合同誌の概要
自分が主催した合同誌は 東方花札風イラスト合同 〜幻想二十四の花かるた〜 と 東方花札合同 百華蒐集 です。
前者の合同は両面ポストカードサイズ12枚のもので、各月に対して両面2人ずつ、その月のテーマの札をデザインしていただく合同で、後者の合同は名刺サイズ48枚で花札の各札に対して1枚ずつ割り当てて札をデザインしていただくといった合同になっています。
実はここだけの話なのですが、花札合同第1段の企画をした次点で第2段の予定は少し立てていました。(一定以上部数売れたり、満足する完成度のものができれば第2段をするつもりでした)
他の一般的な合同誌と違い、以下の点で大きく異なっていると思います。
- 一人でも人数の過不足が合ってはならない。
- 本ではないので、パッケージング等は自力で行わなければならない。
- 本ではないので、編集は意外と楽
- 全員同じテーマでイラストを書くわけではない
総じて、合同主催の負担としては編集は楽ですがその他でそれ相応の負担を被ることになります。 なので、私の主催した合同ではそのあたりの工夫が必要になってきますね。
合同誌主催として、最低限気をつけなければならないこと
これに関しては既存の記事が非常に優秀なので、私から言うことは特にありません。 特に、以下の記事が参考になりました。 自分から強調して言いたいことは
- 合同参加者の工数もかなり多く取りますし、お金に関してはよく相談しましょう。
- 人の募集から頒布まで、予算や期間についてきっちり目処を立ててから募集をかけよう。
の二点ですね。
合同誌主催として次点で気をつけなければならないこと・心がけ
最低限のことを気をつけた上で、次点で気をつけなければならない点を紹介します。 必ずしも守らなくていいとは思いますが、気をつけるとスムーズにことが進むと思います。
文章は「短く・端的に」を 意識しすぎてはいけない
文章はよく「短く・端的に」とよく言うと思います。 間違ってはいませんし、重要なことだと思います。 特にtwitterのDMのようなインターフェイスでは特に短く書こうと努力すると思います。 しかしながら、私のように普段文章を書かない人は文章の推敲の際に短く書こうとしすぎて、必要な情報を削りすぎてしまう場合があります。 二度合同誌をした経験から、私のような素人が無理に短く書くよりも、長くても良いのでわかりやすいと思う文章のほうがミスが少なく、また質問も少なかったです。
「わかりやすさ」と「短さ」というのはトレードオフの関係にあると思います。悩んだ場合は「わかりやすさ」を優先しましょう。 大丈夫。 合同誌参加者は長くてもちゃんと読んでくれます。
25人規模を超える場合twitterのDMを過信しない
多くの参加者はtwitterのDMでの連絡を取りたい方が多いと思います。 自分も過去そう思い、二度の合同でそのようにしました。 しかしながら、大人数の合同では
が発生します。「API」とはtwitterの機能を使う窓口みたいなものなのですが、あることをすれば窓口がスパム扱いするのです。 例えば、同じメッセージを何度も送るとスパム扱いだったり、一気にDMを送るとスパム扱いだったり… 体感25人あたりから""""キツい""""です…
大人数の場合はメールでの連絡を推奨しましょう
文章は5%前後くらいの確率で誤解されてると思え
この5%はあくまで僕の文章力です。人によって違うと思います。 このブログみたいな文章力だと5%くらいの人が誤読するってことですね。 合同誌を主催すると、自分がどれだけ物事を正確に伝える力があるのか定量的に測れてとてもいいです。 かなり貴重な経験ですね。
誤読・誤解・勘違いをしたまま進行することを防ぐために工夫をするのも合同誌主催の仕事です。 最低限、わかっていてほしいことは参加者自身の手で二重確認させるように設計しましょう。
余裕があればメッセージを共有する前に参加者に確認してもらうといいですね。
参加者自身のチェック: 募集のチェックの例
以下は募集の際に設けたチェックボックスです。 要項にも書いているのですが、募集の際に最も重要な「金銭面・誤解されやすい点・締め切り」をこのような形で二重チェックさせています。
参加者自身のチェック: 配置のチェックの例
配置ミスはこの合同で最も気をつけなければならない点です。 スプレッドシートを用いて参加者全員の配置をお互い確認できるようにし、 また確認した配置を自らDMで復唱していただくことで、さらなるミスを防止しています。
そのようなDMが来ない場合はリプライとかで促します。 ここは妥協すると本当にめんどくさくなるので最大限注意しました。
あとがきと原稿の提出は同時にお願いしよう
タイトル通りです。 「あとがきは後でもいい」スタイルは絶対忘れます。 これは先人の知恵でもあり僕もやったら忘れました。 ごめんなさい。
提出要項ウェブページを作ろう
最終的にウェブサーバーを借りて合同誌の宣伝をするのですから、早い間にウェブサーバーを借りて参加者のためのページを作っちゃいましょう。 以下が自分の作ったページの例ですね。
ここを見ると合同の提出に関するすべてが細かな注意点を含めて書いてあります。 質問等もここにまとめておき、主催や参加者の質問をする手間を減らします。
大きな手間ではありません。 メールやDMなどで内容を書くよりも、以下のメリットがあります。
- twitterが凍結等されてもウェブページさえあれば原稿の提出方法の確認ができる
- 太字や色を使うことができるのでDMよりも見やすい
- 画像等を使った丁寧な説明ができる
- リンクを貼ることができる(twitterDMではかなり制限されます)
- テンプレートをサーバー上に置くことでいつでもダウンロードすることができる
- twitterのDMと違い、重要性の低い内容を送信するリスクが少ない(メールやDMではどうでもいい情報のせいで重要な情報が流れてしまいます)
あとは「内容を更新したのでウェブページ見てね」とDMで告知したら終わりです。 参加者的にも主催者的にもいいですね。
メッセージの書き方
基本的に論文書くときと同じ心得だと思っています。誰しもが読んで誤解のない文章を書くべきです。 以下の本がおすすめです。あまり内容は数学的ではないので、是非読んでみてください。
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メッセージのスタイル
メッセージはtwitterDM、pixivメッセ、メールで以下のスタイルで書きました。
(伝えたい内容の概要) 締め切りまであとN日になりました。hogehogeについて、以下2点確認をよろしくお願いします。 (伝えたい内容の箇条書き) 1. XXXXについて 2. YYYYについて 1. XXXXについて (XXXXについての詳細) (やってほしい理由) 2. YYYYについて (YYYYについての詳細) (やってほしい理由) 以上2点、よろしくお願いします。
僕の場合文章が長くなりがちなので、構造的に内容をわけられるよう考慮した結果がこうなりました。 このスタイルの書き方の利点としては、以下の4点があります。
- 詳細や理由を添えることで、誤読や勘違いを減らす
- 内容が箇条書きで書かれており、メッセージの概要がひと目でわかる。
- 番号をつけることで、内容の参照が可能になる
- 伝えたい内容の個数がわかるので、理解した内容の確認が容易になる
1. 詳細や理由を添えることで、誤読や勘違いを減らす
書いてあるとおり、作業内容を書くだけではなく、や「なぜそれが必要なのか」を付け加えます。
ただただ「端的に短く」やってほしいことを書いてもらってもいいのですが、「なぜそうしなければならないか」という「冗長性」を付け加えることで、誤読のリスクを減らす役割があります。
これがあるのとないのでは体感で相当な誤読が減りました。
2. 内容が箇条書きで書かれており、メッセージの概要がひと目でわかる。
1.で詳細や理由を付け加えたことにより、文章が長くなってしまいました。この冗長性は必要なもので削ってはいけないものです。 でも、長い文章はやはり短く書かれたものよりも読みにくいです。
なので、内容を端的に短く書いた目次のようなものを追加しましょう。それが
1. XXXXについて 2. YYYYについて
この両方を書き、番号でお互いにリンクさせることで短い箇条書きの文章と長い文章の利点の両立を図っています。
3. 番号をつけることで、内容の参照が可能になる
あえて難しい言葉で書いてみました。 2.で目次を作りましたが、例えば「3番がわかりにくいなぁ」と思ったら「3番の詳細(今読んでいるこれ)」を読めばよいのです。
これが3番の伝えたい内容です。過去の文章で
1.で詳細や理由を付け加えたことにより
であったり
2.で目次を作りましたが
みたいに番号で他の内容を参照することができます。これが「・」の箇条書きではなく番号の箇条書きを使う理由の一つです。
4. 伝えたい内容の個数がわかるので、理解した内容の確認が容易になる
文章を読み終わった後、最後に自分の理解した内容を再確認します。 そのときに数がわかると便利です。
ここまでの内容を読んだあなたは最後に
1. 詳細や理由を添えることで、誤読や勘違いを減らす 2. 内容が箇条書きで書かれており、メッセージの概要がひと目でわかる。 3. 番号をつけることで、内容の参照が可能になる 4. 伝えたい内容の個数がわかるので、理解した内容の確認が容易になる
の4点が理解できたことを確認するのではないでしょうか? 3点しか理解してなかったらそれは理解が不足しているということです。
最後に
以上N点、よろしくお願いします。
のように書き加えることで、何点相手に理解してほしいかを強調する文章を書いています。
まとめ
これがこのスタイルの文章の書き方の利点です。 大学のサークルや合同誌等の連絡で色々試行錯誤した結果これが一番誤解が少なかったっぽかったので私はこのスタイルを採用しています。
おわりに
1回目の反省点を活かし2回目では様々な工夫をしてかなりの誤読や誤解を減らせたと思います。 この記事ではその中でも特に効果が合ったと思う部分を紹介させていただいています。
今回の合同では誤読しても問題ない部分では少しだけトラブルが起き、問題がある部分は全くトラブル等は起きなくスムーズに進行できたと自負しています。
しかし、まだまだトラブルが全く起きなかったわけではないので軽微なミスも0にするようマネジメントを模索していきたいと思います。 こういう知見を集めるために合同誌主催が集まるオフ会みたいなの企画してみたいですね。